最後のぬくもり



「じゃ、行ってくる」
 そう言って笑う彼ーバッファローマンーに何も言えず、ただ頷いた。
「んな顔すんな。ちゃんと帰ってくるからよ」
 クシャっと頭を撫でる。手加減してくれているのは分かりすぎるぐらい分かっている。最初は手加減が分からなくて、震えていたのを思いだす。
 どうしてだろう?
 彼は戦いに行っても、笑顔で帰ってきてくれるのに、この不安はなんだろう。
「…
 苦笑して彼が私を呼ぶ。
「俺はそう簡単に死なん」
「…かってる…わかってる…けど…」
「俺はやっと自分の居場所を見つけたんだ」
 取り出したのは赤いハチマキ。友情の証として、みんなで揃えたと嬉しそうに話してくれたハチマキ。今度の戦いはこのハチマキを分けた友人とも戦うかも知れないけど、それでも友情は変わらない。
 そう言える彼が羨ましかった。そして、彼にそんな風に言わせた友人達にちょっと嫉妬したりもした。
 どんなに大ケガを負おうと、彼は笑って帰ってくる。
「行ってらっしゃい」
「ああ。帰ってきたら、にキン肉マン達や血盟軍の仲間達を紹介するからな」
 その言葉は、彼にとって家族に紹介すると言っているようなもの。
「うん。待ってる。バッファ…」
 涙を堪えて笑って言う。
 家族がいないのは、バッファも私も一緒。だけど、彼には何よりも大切な仲間がいる。大切な仲間の為に彼は戦う。
 それを止める権利は私にはない。
 だから、せめて笑顔で見送ろう。彼が戦いを楽しめるように。
 バッファが笑顔で帰ってこれるように。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」
 言葉を交わし、唇が合わさる。





 いつもの休日通り、掃除をし、洗濯も済んだ。お気に入りのソファーに座ってうたた寝をしていた時、膝に温もりを感じて目が覚めた。
「あれ…? バッファ…?」
「起きたか? はここが好きだな」
 風邪ひくぞ。そう言って笑いながらも、膝に両肘を置いて、体を預けてくる。
「バッファ…? どうしたの」
 ふざけるようにした事はあるけど、こんな風に甘えてくる事はない。
「愛してるぜ。
「うん。私も愛してるよ。バッファ」
 見上げられて言われた言葉。普段は見上げられる事なんてないから不思議な感じがした。
「……」
 私の名前をもう一度呼んでから、バッファは膝に体を預けて、顔を上げながら笑い、目を閉じる。
「バッファ…?」
 声をかけても返事は返ってこない。
 だんだん薄れてくる彼の姿が私に現実を伝えてくる。
 そうか…バッファは私に会いにきてくれたんだ…最期に…。
「…バッファ…」
 膝にある温もりがなくなった時、彼が亡くなった事を知った。





 大切な仲間と友人と共に戦った彼。そして、最期は私に会いにきてくれた。
 それだけで充分。
 消えた温もりを抱きしめるように、膝に触れて目を閉じる。
 閉じた目からはポタポタ…と雫が流れ落ちた。





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なんだコレ? な話。第…何弾?

ってな訳で(どんな訳だ?)バッファ夢です。
こんな感じの夢を見たので、夢変換です。
背景としては、王位争奪戦のバッファさんの落下シーンら辺。
彼らは友情を大切にすると思います。特に初代の彼らは。そんな彼らが好きなんですよ。
でもね、友情の為に亡くなっても、最期に現われるのは彼女の元。っていう『矛盾してへんか? オイ?』という設定でした。

後に生き返るんですけどね(それを言っちゃオシマイだ)
花から生まれるんですよ。

結局、あれはバッファは死ぬ必要性はあったのか? ソルジャーの正体がすぐにバレタやんなぁ~。
バッファ…予言書守れてない…。死に損…?(それを言っちゃイケナイ)