アデクープラズマ団との遭遇編02

第二話

 翌日。
 あのままが一泊したライモンシティのポケモンセンターとプラズマ団の被害を重く見ていた警察が協力して、奪取したポケモン達を元のトレーナーに返還する作業が始っていた。
 警察からはイッシュ地方のジュンサーが現れは何故か事情聴取されていた。
「この娘がプラズマ団を追っ払い、ポケモンを取り戻してくれた」
 と、チャンピオンのアデクがジュンサーに証言してくれなければ、とバクフーンを始めとするポケモン達も延々と拘束されそうな勢いだった。
 異なる地方から旅をしているというのがネックであったらしい。ちゃんと新しくしたトレーナーカードを見せたのに効果薄とは……嫌な感じである。
 それだけプラズマ団に警察も手を焼いている証拠。情報が欲しいのだろう。
 だからこそ水面下での様な一般トレーナーがタカミズ旗下の調査員として行動している。しかしは曾て十代で名を馳せたポケスロントレーナーだ。彼女を一般トレーナーというのは少し語弊があるやも知れぬ。
。今後は気をつけた方がいいぞ。プラズマ団に眼をつけられた可能性が高い」
 ポケモンセンターを出て真正面にある大きな人工池の柵に両腕を乗せたアデクが真摯に言った。斜め後に居たは人工池の中にある噴水を見てから旅するチャンピオンの後ろ姿を見つめる。
 バクフーンは目立つのでボールの中へ戻し済みだ。
「この地方では珍しいバクフーンとフライゴン。特にバクフーンは嫌でも記憶に残る。間違いなくお前さんとポケモン達はこの先、彼奴らに狙われる」
 はい、返事はそれしか出来ない。自身も理解していた事だ。昨日の戦闘はのミスだ。プラズマ団と遭遇して直ぐ離脱するのが正しい選択であった様に思う。
「対策はあるのか?」
「……プラズマ団を壊滅させる」
 チャンピオンは仰天した顔で半身を翻したが当人は肩を竦めた。
「半分本気ですが半分冗談です」
「いや………お前さんなら、それも可能かも知れん」
 至極真面目な表情で無精髭を生やす顎に指を当て考え始めてしまう。
 は音にもならない溜息を吐いて軽く周囲へ目配せしたーー案の定、アデクはイッシュ地方一の有名人である。チラチラと彼を振り返る人も多数だ。そんなチャンピオンと居る自分は何者なのだという視線も強烈に感じる。
 娘さんかな、お孫さんじゃない、意外に恋人だったら素敵、年の差ありすぎるよー、通り過ぎるOL達の内緒話というには聞こえ易いそれがの耳に届く。
 孫扱いは酷いなぁ、無表情でが思った時だ。
。お前さんジムバッジは幾つ持っておる?」
「え? あ、まだ一つだけです」
「イッシュ地方のジムバッジ八つ、全て集める予定はあるのか?」
「はい、勿論」
 即答した為か、「そうか。ならば話しが早い」アデクは嬉しそうに頬を綻ばせるも一瞬にして真顔に転じさせる。
「バッジを集めチャンピオンロードを抜け、イッシュ四天王を倒してワシに挑戦してくれ」
 四天王とチャンピオンが挑戦者を迎え撃つ為に座しているのがポケモンリーグだ。
 バッジを八つ集めなければチャンピオンロードへの道は閉ざされているのと変わらない。バッジと同じ数ある八つのゲートチェックをパス出来ないのだ。
「……本気ですか……?」
とポケモン達の力を見込んでの、一世一代の頼みじゃ。本気に決まっておる」
 確かにはアデクに挑戦したいと考えていた。
「引き受けてくれんか? 老い先短い老いぼれの頼みだ」
 彼女は調査で必要だから、という理由でバッジを集めるだけだった。各地方のチャンピオンロードへ足を運んだ事も無ければ、四天王に挑んだ事もなければ勝利した事もない。ましてやチャンピオンに挑んだことなど皆無だ。
「………解りました。バッジ八つ、チャンピオンロードを抜け四天王を倒し……必ずアデクさんに挑みます」
 チャンピオンロードは調査の対象外ではあるが、伝説ポケモンとプラズマ団の痕跡が見つかるかも知れない。
「その言葉しかと受け止めた。心待ちにしておるぞ、
 アデクに手を差し出されは驚きつつも、「はい」それに応じた。